ドライアイの目薬で、前線で大活躍している主要な薬剤は3種類あります。
以前は、ヒアルロン酸ナトリウム(商品名:ヒアレイン、ティアバランス)くらいしか選択肢がなかったんだけど、
ちょっと前にムコスタ点眼とジクアス点眼が発売してから、
ドライアイのタイプによって治療薬が使い分けられるようになりました。
どういった違いがあるのでしょうか?
まずは、薬について説明する前に涙についての説明です。
涙は「油層」「水層」「ムチン層」の3層から出来ていて、
適度なバランスで眼の潤いを保っています。
このバランスが崩れると水分が蒸発しやすくなって、目が乾きやすくなります。
油層:涙の一番外側の層で、油の膜で眼の表面全体を覆い涙の水分の蒸発を防いでいます。
液層:涙のほとんどを構成する中間層です。栄養分などが含まれています。
ムチン層:角膜と直接接する層で、涙と角膜を結びつけ、液層を引きつけて涙が眼表面からこぼれ落ちないようにしてくれています。
眼の潤いを保つために重要な働きをする成分としてムチンが注目されています。ムチンには、「分泌型ムチン」、「膜型ムチン」の2種類があります。
膜型ムチンは、ムチン層にあり、潤いをつなぎとめる役割をしています。
分泌型ムチンは、液層に混ざってゲル構造になって液層を安定化してくれます。
このムチンの働きが低下したり、涙の量が減ったり、油分が減ったりするとドライアイの原因になります。
ヒアルロン酸ナトリウム
この成分は市販薬の目薬にも使われています。ただ、市販薬の場合は、主成分としてではなく添加剤(製剤の粘稠剤)として、ちょっとだけの配合にとどまります。
病院と同じ濃度のものは市販薬にはありません。
昔からあるドライアイに使用される成分で、
商品名で有名なものだと、ヒアレイン点眼液、ティアバランス点眼液が該当します。
ティアバランスはヒアレインの後発医薬品で値段がちょっとだけ安いです。また指し心地が改善されてよくなっています。
以前は、0.1%配合のものしかなかったけど、最近は、0.3%配合されている濃いものもあります。
ヒアルロン酸ナトリウムは、保水性が高く涙液を安定化させ、もともとある涙を眼の表面に長く引きつけておく作用があります。
ジクアホソルナトリウム
商品名で言うと、ジクアス点眼液
ジクアスはムチン注目した新しいタイプの点眼薬です。
結膜から水分とムチンの分泌を促進してくれます。水分を増やしてくれるだけじゃなくて、分泌型ムチンも増やしてくれるので液層が安定化されて、涙の質も改善してくれるわけです。
また脂質分泌も促進して、油層の機能を高める可能性があるともいわれています。
点眼直後にしみる場合があるけど、ほとんどの場合は点眼を続けていると気にならなくなります。
レバミピド
商品名で言うと、ムコスタ点眼液
ムコスタは目薬よりも胃薬の方が有名です。ムコスタ点眼液は最近発売された新しい薬です。
レバミピドは胃粘膜のムチンを増加させ、胃粘膜保護作用を期待して、胃炎や胃潰瘍治療薬として使われています。
このレバミピドを点眼すると、膜型ムチンを増やす働きが期待されていて、膜型ムチンが増えると、分泌型ムチンも増えます。
分泌型ムチンが増えるのでジクアス点眼液同様に涙の質を改善してくれるわけです。
このムコスタ点眼液は、白い懸濁液で、点眼後視界が曇ることがあります。また眼のふちに白い結晶が残ることがあります。
また、眼から喉に流れてしまうと苦味を感じます。
ヒアルロン酸ナトリウムは刺し心地がいいので人気があるが効果としてはジクアスやムコスタの方が期待できます。
また、ヒアルロン酸ナトリウムとジクアス、ムコスタを併用することもあります。