インフルエンザには、昔は対処療法しかなかったけど、
この抗インフルエンザ薬の登場によってインフルエンザウイルスに直接効果が得られるようになり、
治療が劇的に進歩しました。
イナビルは、ノイラミニダーゼ阻害薬というカテゴリーの薬です。
第一三共が開発した薬で、吸入型の長時間作用型ノイラミニダーゼ阻害薬です。
インフルエンザ発症後に1回だけの吸入で気管や肺に長時間とどまり効果を示し、1回の吸入でタミフル5日間と同じくらいの効果があるといわれています。
現在使用されているノイラミニダーゼ阻害薬は、
4種類あります。
ノイラミニダーゼ阻害薬は、細胞内で増殖したインフルエンザウイルスが細胞外に遊離するのを阻害する薬で、
どれもA型、B型どちらのインフルエンザにも有効で、
とくに、A型に対してはとてもよく効きます。
ウイルスが体内で増殖してくれるのを食い止めてくれるので、
ウイルスが増殖し切る前に使用することが大切です。
具体的には、
症状の発現から2日以内に投与することとされています。
添付文書では、
症状発現から48時間経過後に投与を開始した患者に有効性を裏付けるデータは得られていない
と記載されています。
抗インフルエンザ薬には色々種類があるが、
イナビルの特徴は1回の使用で治療が完結できることです。
ただ、吸入薬なので、あんまり小さい子は吸入の手技が困難なので、
1歳~4歳くらいの小さなお子さんにはタミフルドライシロップがよく使われます。
タミフルは10代には異常行動を発現のリスクが高いことから原則使用されません。
その代替薬として、しばしばリレンザやイナビルが使用されます。
20歳以上の成人は、多忙なためリレンザやタミフルよりも1回の使用ですむので好まれているような気がします。
また、
病院内や薬局内で手技を確認しながらその場で吸入し治療を完結できるメリットもあります。
イナビルではないのですが、似たような薬のタミフルという薬で、2007年に10歳代のインフルエンザ罹患者がタミフルを服用後に転落死したことで、大々的にニュースで取り上げられたことがあります。
タミフルは異常行動を誘発する可能性があるとされ原則10代には使用しないことになりました。
この時はインフルエンザ罹患者のほとんどがタミフルを使用しており、他のノイラミニダーゼ阻害薬は話題にならなかったが、
現在は、他のリレンザ、イナビル、ラピアクタも同じカテゴリーの薬として異常行動に注意喚起をするように求められています。
具体的に異常行動とは、
普段と違うとっぴな行動をとる、うわごとを言ったり興奮したりする、幻覚が見える、妄想、意識がぼんやりする、突然走り回るなんかがあげられます。
ただ、
このようなことは、抗インフルエンザ薬を投与してないインフルエンザ罹患者にも見られることもあり、必ずしも薬の副作用とは言い切れません。
特に、発熱後の24時間以内の比較的早期に起こりやすいと言われているので、
インフルエンザと診断されたら少なくとも2日間、保護者の方は、就寝中も含め患者を一人きりにさせないようにしましょう。
このイナビルという薬は、
インフルエンザに罹患していなくても予防薬としても使用することもできます。
予防投与は保険適用がなく自費診療になってしまいます。
通常成人ではイナビルは、1日1回、1回2キットを使うが、予防投与の場合は1日1回、1回1キット、2日間とされています。
イナビルを2日吸入するとタミフルと同じで10日間はインフルエンザを予防できます。
予防における臨床試験において10歳未満の小児は被験者として組み込まれなかったため、10歳未満の小児での1日1回2日間吸入投与は推奨されません。
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