薬局に、処方箋ではなく、医療用医薬品をお求めの方が来たのですが、対応に悩んだあげくお断りしてしまいました。
ほとんどの薬局で、市販薬を除き、処方箋のない医療用医薬品の販売はしてくれないと思います。
詳しくは下記に記載しますが、結果的にいうと「医療用医薬品」でも「処方せん医薬品」でない限り、販売が可能です。
処方箋に関しては薬局に応需義務があるので、頼まれた時は断れませんが、
それ以外の医薬品販売に関して応需義務はありません。なので、理由の如何に問わず薬局側が販売しないと言えば、買うことができないのです。
医療用医薬品は、
大きく2つのカテゴリーに分けれます。
「処方せん医薬品」と「処方せん医薬品以外の医薬品」です。
「処方せん医薬品」はそのままの意ですので、処方箋がないと処方できません。
今回、販売をお願いされたのが、「処方せん医薬品以外の医薬品」です。
たとえば、ロキソニン、ムコスタ、セルベックス、ムコダイン、ムコソルバンなどなど
数えれば、きりがないのですが、風邪薬なんてほとんど「処方せん医薬品以外の医薬品」に分類されます。
実は、これらの医薬品は下記のルールのもとで、誰でも購入が可能なのです。
これらの医薬品の販売規制は法律の規定はないが、厚生労働省が、通知(薬食発第0330016号)にて、販売ルールを明確にしています。
ちょっとまとめてみました。
処方せん医薬品以外の医薬品のルール
①一般用医薬品の販売による対応を考慮したにもかかわらず、やむを得ず販売を行わざるを得ない場合などにおいては、必要な受診勧奨を行った上で、次に掲げる事項を遵守すること
②販売を行わざるを得ない必要最小限の数量に限定すること。
③販売時において、販売品目、販売日、販売数量並びに患者の氏名及び連絡先を記録すること
④患者の薬歴管理を実施すること
⑤販売に当たっては、薬局において、薬剤師が対面により販売すること
⑥添付文書又はその写しの添付を行うなどすること
⑦一般用医薬品とは異なり、医療において用いられることを前提としたものであるので、販売に当たっては、これを十分に考慮した服薬指導を行うこと
要は処方箋薬のように、連絡先をきいて、服薬指導して、薬歴に記録しましょうねということです。
ちょっと手間ですよね。
なので、ほとんどの薬局では、断られると思います。
参考資料:厚生労働省通知(薬食発第0330016号)抜粋
処方せん医薬品以外の医療用医薬品について
(1)原則
処方せん医薬品以外の医療用医薬品についても、処方せん医薬品と同様に、医療用医薬品として医師、薬剤師等によって使用されることを目的として供給されるものであること。
このため、処方せん医薬品以外の医療用医薬品についても、効能・効果、用法・用量、使用上の注意等が医師、薬剤師等の専門家が判断・理解できる記載となっているなど医療において用いられることを前提としており、1.(2)に掲げる場合を除き、薬局においては、処方せんに基づく薬剤の交付が原則であること。
(2)処方せん医薬品以外の医療用医薬品の取扱いについて
処方せん医薬品以外の医療用医薬品については、病院、診療所、薬局等へ販売する場合を除き、処方せんに基づく薬剤の交付を原則とするものであるが、一般用医薬品の販売による対応を考慮したにもかかわらず、やむを得ず販売を行わざるを得ない場合などにおいては、必要な受診勧奨を行った上で、次に掲げる事項を遵守すること。
① 数量の限定
販売を行わざるを得ない必要最小限の数量に限定すること。
② 調剤室での保管・分割
処方せん医薬品以外の医療用医薬品については、薬局においては、原則として、医師等の処方せんに基づく調剤に用いられるものであることから、通常、処方せ
んに基づく調剤に用いられるものとして、調剤室又は備蓄倉庫において保管すること。また、販売に当たっては、薬剤師自らにより、調剤室において必要最小限の数量を分割すること。
③ 販売記録の作成
事後に保健衛生上の支障が生じた場合に、迅速な対応を講ずることができるようにしておく必要があることから、販売時において、販売品目、販売日、販売数量並びに患者の氏名及び連絡先を記録すること。
④ 薬歴管理の実施
販売された処方せん医薬品以外の医療用医薬品と医療機関において処方された薬剤等との相互作用・重複投薬を防止するため、患者の薬歴管理を実施すること。
⑤ 薬局における薬剤師の対面販売
販売に当たっては、薬局において、薬剤師が対面により販売すること。
(3)その他の留意事項処方せん医薬品以外の医療用医薬品の販売に当たっては、処方せんに基づく薬剤の交付又は一般用医薬品の販売等と同様に、次の事項にも留意すること。
① 広告の禁止
患者のみの判断に基づく選択がないよう、引き続き、処方せん医薬品以外の医療用医薬品を含めた全ての医療用医薬品について、一般人を対象とする広告は行わないこと。
② 服薬指導の実施
処方せん医薬品以外の医療用医薬品については、消費者が与えられた情報に基づき最終的にその使用を判断する一般用医薬品とは異なり、医療において用いられることを前提としたものであるので、販売に当たっては、これを十分に考慮した服薬指導を行うこと。
③ 添付文書の添付等
処方せん医薬品以外の医療用医薬品の販売については、分割販売に当たることから、販売に当たっては、外箱の写しなど新薬事法第50 条に規定する事項を記載した文書及び同法第52 条に規定する添付文書又はその写しの添付を行うなどすること。