今日は患者さんとの雑談で咳止めで鼻水がとまったという方がいらっしゃったので、この件について説明したいと思う。
咳止めと花粉症はなにか関係がるのでしょうか?
花粉症って鼻水とくしゃみの症状に目が行きがちなんだけど、花粉が引き起こすレルギー症状はヒスタミンが関与しているので、ヒスタミン受容体は全身に存在することから全身症状や消化器症状も起こりえます。
また、
アレルゲンが喉を刺激することもあって喉のかゆみ違和感も花粉症の代表的な症状です。花粉症シーズンって喘息持ちの人が症状悪化しやすいのも同じですね。
アレルギーによって咳が起こることもあって、このアレルギーによっておこる咳を咳喘息って言うんだけど、花粉症で咳喘息が悪化することもある。
だから、花粉症で咳が起きるから咳止めはもちろん効果です。
でも、
今回、お話のあった患者さんは、咳止めで、鼻水やくしゃみの花粉症の症状がなくなったといっていました。
こんなことがあるのでしょうか?
実は、咳止めの多くは配合剤で、いくつかの成分を配合して咳止め錠がなりたっている。たとえば、咳止めの代表的なものとして、フスコデ配合錠というのがあります。
こちらは1錠中の成分は、
ジヒドロコデインリン酸塩 3mg
dl-メチルエフェドリン塩酸塩 7mg
クロルフェニラミンマレイン酸塩 1.5mg
この中でクロルフェニラミンマレイン塩酸が抗ヒスタミン剤というアレルギー症状を緩和するために使われる成分です。
これがアレルギーの咳にも効くようにと配合されたものです。
ちなみに市販の咳止めのほとんどは抗ヒスタミン薬が配合されていてます。
さらに、
咳止めと一緒に使われている咳喘息用の抗ヒスタミン薬は第一世代抗ヒスタミン薬がほとんどです。第一世代の抗ヒスタミン薬は、眠気や口渇の副作用が強いかわりにアレルギーの症状にとてもよく効きます。
この第一世代抗ヒスタミン薬は花粉症の薬としてはいまは第1選択としてつかわれることはあまりありません。効きがいいのは確かなのですが、とにかく眠くなるので、現在は眠気がでにくいとされている第二世代抗ヒスタミン薬が主流になってます。
この第一世代抗ヒスタミン薬は使用する量にけっこう幅があって、咳止めに使用している量は比較的多めでつかわれており花粉症の薬よりも多く配合されているものもあります。
つまり、よく効く第一世代抗ヒスタミン薬で量もおおいから、こちらの方がよく効くという方がいてもおかしなことではないと思います。
先ほどのフスコデ配合錠で説明すると、成人は1回に3錠フスコデ錠を使うことができます。すると、マレイン酸クロルフェニラミン塩酸4.5㎎になります。これはポララミン錠にすると2.25錠を服用するのと同じ量です。
1回にポララミン2.25錠を服用することを考えると、効きそうですよね。
ただいくら効いたからといっても、咳止めを花粉症の薬として使うことは、おすすめできる使い方ではありません。
咳止めは、長く使う薬ではないからね。第一世代抗ヒスタミン薬と鎮咳薬をセットで長期でつかうと便秘しそう。
マレイン酸クロルフェニラミンが効果があるのであればこれを主成分とした花粉症の薬をおすすめするといいでしょう。