意識低い系薬剤師の転職紀行

安寧の場所を求めて3年ごとに転職を繰り返す意識低い系薬剤師。管理薬剤師になりたくない万年勤務薬剤師。やる気はないけど薬は好き。

アレルギー症状を緩和するテープ剤「アレサガテープ」の作用機序

投稿日:2017年10月25日 更新日:

つらーいアレルギーの症状をおさえるテープ剤の発売準備がちゃくちゃくとすすめられています。名前は「アレサガテープ」で、ただいま承認するかどうかの審議中です。

アレルギー症状を緩和するからって「アレサガ」の名称はちょっと安易です。

有効成分は「エメダスチンフマル酸塩」なので同成分の経口薬は昔から存在しています。「レミカットカプセル」「エメロミンカプセル」がそれに該当します。

それのテープバージョンですね。まったく使いたい気持ちにならないんだけど需要あるんですかね?

こんなの売れないとおもうんだけど。販売するメーカーは久光製薬で貼り薬に定評のあるメーカーですね。以前にも「ネオキシテープ」って過活動膀胱の治療薬で同じように経口薬から経皮吸収剤にチャレンジしたけど全然売れてませんよね。

二の舞いにならないか心配です。そんな「アレサガテープ」を承認前に分かる範囲でまとめてみる。

アレサガテープって何?

有効成分は「エメダスチンフマル酸塩」なので同成分の経口薬は昔から存在しています。「レミカットカプセル」「エメロミンカプセル」がそれに該当します。

「レミカット」と「エメロミン」は先発と後発の関係にあり基本的には同じものと考えてOK。この経口剤は通常成人で1日2回服用します。第2世代と第1世代の抗ヒスタミン薬の間くらいのポジションでギリギリ第2世代抗ヒスタミン薬ってとこです。現在よく使用されている「アレグラ」「クラリチン」「ザイザル」なんかと比べると眠気や口渇がでやすい成分になります。

レミカットの添付文書より
2mgを食後単回経口投与した場合、エメダスチンの最高血漿中濃度は1.26ng/mL、最高血漿中濃度到達時間は3.1時間、消失半減期は7.0時間であった。1回2mgを1日2回14日間反復経口投与した場合、血漿中濃度は5回目で定常状態に達し、0.96~1.87ng/m

約3時間で最高血中濃度にたっするので服用後3時間で効き目と眠気のピークを迎えることになります。そこから徐々に血中濃度は少なくなり7時間で半分になり効き目が弱くなってきたタイミングで次の薬を服用します。

この用に1日の中でも血中濃度が高いところ低いところとバラツキがでて、高いところでは副作用もでやすくなる。この問題を解決するのがテープ剤です。

左図が内服薬のイメージですね。それに対してテープ剤を使うと右図のような感じになります。ピークをもたせないことで安定した効果がきたいできるのと、血中濃度が一時的に高くなることもないので副作用もでずらくなる。

テープ剤にすればなんでも一定濃度にたもてるというわけではなくって、TDDS(Transdermal Drug Delivery System:経皮薬物送達システム)と呼ばれる特殊な技術がつかわれています。この特殊なテープだと一定量の薬が継続的に放出されるので血中濃度を一定にたもつことができる。

これがテープ剤のメリットですね。デメリットはかぶれやすくなるのと肌の状態によっては副作用のでやすさがかわること。

アレサガテープの効能効果

アレルギー性鼻炎

なんと鼻炎オンリーです。蕁麻疹とかにつかえたら便利なのにね。もしかしたら、このあと適用拡大するのかもしれないけど、いうほど売れないでしょ。ちなみにレミカットは「アレルギー性鼻炎、蕁麻疹、湿疹・皮膚炎、皮膚そう痒症、痒疹」なんで蕁麻疹やかゆみにも使用することができます。

うんーんなんとも使いづらいですなー。

アレサガテープの用法用量

通常、成人にはエメダスチンフマル酸塩として1回4mgを胸部、上腕部、背部又は腹部のいずれかに貼付し、24時間毎に貼り替える。なお、症状に応じて1回8mgに増量できる。

1日量が4㎎なんで、レミカットよりも多いですね。といっても、4㎎全部が吸収されるかどうかはわかりませんが。100%放出ってことはないでしょ。増量して8㎎までいけますね。

ちなみに重要な基本的な注意のところに「本剤4mg使用時と比べ、本剤8mg使用時には眠気の発現率が高い傾向があるため、眠気等の発現に特に注意すること。」って記載もあるので、やはり眠気がネックになりそうです。

アレサガテープの副作用

レミカットと同じ成分なので眠気や口渇があげられます。またテープ剤特有の副作用として貼付部位のかぶれも考えられます。薬剤でかぶれることもあればシールの粘着剤でかぶれることもあります。

副作用等発現状況の概要
国内臨床試験において、1,060例中201例(19.0%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められた。主な副作用は、適用部位紅斑116例(10.9%)、適用部位そう痒感48例(4.5%)、適用部位丘疹21例(2.0%)及び眠気52例(4.9%)等であった。(承認時)

敏感肌の人はスキンケアしっかりしながら使うといいでしょう。

アレサガテープは売れるかな?

久光製薬の有名な商品といえば「モーラステープ」ですが、他にも過活動膀胱の治療薬で「ネオキシテープ」っていうのもだしてもす。このネオキシテープも経皮吸収剤で、経口薬で昔からつかわれていた成分「オキシブチニン」をテープ剤にしたものです。

このネオキシテープは全然売れてませんね。こりずにアレルギー薬でチャレンジするようです。

テープ剤のいいところは内服が難しい人でも使えるってことと効き目が短い成分でも徐々に放出することで長時間効果を安定させることができる。

ただアレルギー薬はOD錠がたくさんでているし、1日1回製剤のものもたくさんある。シロップ剤もある。クラリチンレディタブとか口に入れたら一瞬で溶けてなくなるから嚥下困難者でも容易につかえます。

ってことで、あえて「貼付薬」を使うメリットはすくない。

テープが必要なケースはすくないとおもいます。鼻炎だったら点鼻薬でもいいですよね。正直テープ剤はわたしはいらないなー、月に1回の鼻炎薬が欲しい。もしくは月に1回の点鼻薬でもいいや。

-医療用医薬品

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