意識低い系薬剤師の転職紀行

安寧の場所を求めて3年ごとに転職を繰り返す意識低い系薬剤師。管理薬剤師になりたくない万年勤務薬剤師。やる気はないけど薬は好き。

グッドミン錠が販売中止してブロチゾラム錠になる理由

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前回の記事で「ロヒプノールが販売中止されてサイレースに一本化する理由」を書きましたが、今回は「さよならグッドミン」です。

グッドミンはレンドルミン錠のジェネリックなんだけど、この素晴らしいネーミングによりジェネリックのなかでも上位ランクの知名度を誇ります。

まずは使用量からレンドルミンとそのジェネリック医薬品のその使用量から見ていきます。使用量と言えばNDBデータベースですね。さっそく参照してみましょう。

レンドルミン・グッドミン・ブロチゾラム錠の年間使用料

2015年の年間使用量をみてみる(院外処方のみ)

医薬品名 錠/年間
レンドルミンD錠0.25mg 107,690,430
レンドルミン錠0.25mg 97,645,304
グッドミン錠0.25mg 63,164,374
ブロチゾラムOD錠0.25mg「サワイ」 39,341,793
ブロチゾラムOD錠0.25mg「テバ」 34,282,502
ブロチゾラム錠0.25mg「サワイ」 23,613,553

厚生労働省「第2回NDBオープンデータ」を元に作成

レンドルミンのシェアって「普通錠」と「D錠」が同じくらいなんですね。てっきり「D錠」メインだと思ってました。眠剤をいちいち水で飲むの面倒だから口腔内崩壊錠の方が便利だと思うんだけど、べつにそうでもないのかな。

で、レンドルミンの次にくるのがグッドミンなので善戦しているでしょ。グッドミン調子いいから「D」錠もだしたらいいのにね。このグッドミンがシェアを広げた理由は絶対ネーミングだと思うんですよね。

いかにもよく眠れそうじゃないですか。

グッドミンのインタビューフォーム「名称の由来」

(1)和名:グッドミン錠 0.25mg
(2)洋名:Goodmin TABLETS
(3)名称の由来:良好な睡眠から

そのまんまですね(笑)

グッドミン錠の経過措置期間

経過措置期間:平成30.3.31まで
販売中止時期:未定

販売中止時期が未定なのでまだ発注すると普通に入ってきますね。販売中止なんだけど、どちらかというと名称変更ですね。

グッドミンの製造販売は「田辺三菱製薬株式会社」で、プロモーションで提携しているのが「吉富薬品株式会社」です。この組み合わせで最近薬価収載されたのがブロチゾラム錠「ヨシトミ」です。これも製造販売は「田辺三菱製薬株式会社」で、プロモーションで提携が「吉富薬品株式会社」なので全く同じです。

薬価収載日がH29.6.16なんで販売中止のお知らせと同じくらいの時期です。

睡眠ってセンシティブだから、中身やメーカーは全く同じでも名前が違うだけで効き目に左右されてしまいます。グッドミン錠とか先発品と思い込んで使ってる人おおいので、この変更は大きな変更になるでしょう。

ぶっちゃけ、

グッドミン錠 → ブロチゾラム錠「ヨシトミ」よりも普通にレンドルミン錠に帰る人の方がおおそう。

グッドミン錠の販売中止の理由

公式で発表してないから憶測ですが、おそらくジェネリック医薬品なのに名前が一般名称ではないからです。

ジェネリック医薬品ってあまりにも種類が増えすぎたから「成分名 + メーカー」表示に統一しようという流れがあって、独自の名前のジェネリック医薬品はどんどん名称変更して「成分名 + メーカー」になっています。

グッドミン錠も販売中止と、新規でブロチゾラム錠「ヨシトミ」が収載されたことを考えると、販売中止理由はネーミングにあるのでしょう。

このネーミンを「成分名」に統一していこうという戦略は厚生労働省主導のもので、以下の資料を参照して下さい。

外部リンク:医薬品産業強化総合戦略(平成27年9月4日厚生労働省)

長いので抜粋します。

先発医薬品のない後発医薬品を除き、薬事承認において販売名を変更するよう企業に指導するとともに、今後数年間に一般名ベースの販売名に変更しない後発医薬品は薬価基準から削除することも含め検討する。

「名称変更しないなら薬価削除しちゃうよ~。」って内容ですね。

もうずいぶんと前から後発品の名前は「一般名称+会社名」というのが当たり前になってきてるけど、それでもまだまだ後発品独自の販売名で販売されているものは多い。

めちゃくちゃ有名なマグラックス錠ですら販売名変更で酸化マグネシウム「ヨシダ」になり、市場からその名前はなくなってしまいました。変更は義務や強制力があるわけではないので同じようなGEでマグミット錠は名称変更しないでマグミット錠のまま頑張るみたいですけど、グッドミンに関しては名称変更ですね。

グッドミン錠について

せっかくなのでグッドミン錠について記載してみます。まずグッドミン錠はレンドルミン錠のジェネリック医薬品です。

レンドルミンのジェネリック医薬品の薬価

表作るのめんどくさいから画像で参照して下さい。2017/09/28現在。

薬価
レンドルミン錠0.25mg/24.3
グッドミン錠0.25mg/9.9

グッドミン錠は先発品だとおもって勘違いしている人も多いと思うけど、実はジェネリック医薬品で、値段も先発品の半額以下となかなかリーズナブルですね。ただ、もともと高い薬ではないですけど。

グッドミンの効き目

医薬品添付文書を参照していきます。

効能効果
不眠症:1回ブロチゾラムとして0.25mgを就寝前に経口投与する

短時間作用型の睡眠薬です。服用したら30分くらいで効いてくるので早めに電気消して布団にはいって、スマホの電源OFFにしましょう。

短時間作用型の特徴は、効き始めるまでが早くて、朝方には効き目がキレているので眠気がすくない。

短時間作用型や超短時間作用型は寝付きが悪い入眠障害によく用いられます。せっかくなのでささやかながら他の眠剤と作用時間を比較し見る。

商品名 成分名 分類 半減期(h)おおよそ
マイスリー ゾルピデム 超短時間作用型 2
アモバンテス ゾピクロン 超短時間作用型 4
ルネスタ エスゾピクロン 超短時間作用型 5~6
ハルシオン トリアゾラム 超短時間作用型 2~4
デパス エチゾラム 短時間作用型 6
レンドルミン ブロチゾラム 短時間作用型 7
リスミー リルマザホン 短時間作用型 10
エバミール ロルメタゼパム 短時間作用型 10
サイレース フルニトラゼパム 中間作用型 20

睡眠薬というと作用時間が短いタイプがよく使われますね。で途中で起きてしまう人には中間型や長時間型つかって、中途覚醒を改善していきます。

さて、グッドミン錠(ブロチゾラム錠)についてみていくと、短時間型ですね。

睡眠薬で人気のマイスリー・ハルシオン・アモバンは超短時間なので、それよりは効き目がながいです。半減期が7時間もあると朝方眠いんじゃないかと心配になるけど、しっかりと満足のいく睡眠がとれさえすれば朝方目覚められるし、日中眠いということもない。

レンドルミンと酒(アルコール)を同時に飲んでいいのか?

睡眠薬のんで酒のんでいいですかってよく聞かれる質問だけど「だめだよね」。ベンゾジアゼピン系の睡眠薬に共通で言えるのが酒(アルコール)との相互作用です。

レンドルミンの添付文書(併用注意)より

アルコール(飲酒)
中枢神経抑制作用が増強されるおそれがある。アルコールとの併用は避けることが望ましい。

アルコールと一緒に飲むと「レンドルミン」の効き目が強く出るので止めた方がいいですという説明ですね。

で、さらによく聞かれるのが「同時じゃなければいいんでしょ?」ですね。そうですね、たしかに同時じゃなければいいですね。ではどれくらいあければ安全に使えるでしょうか?

アルコールの消失半減期は3時間位と言われています。消失半減期の5倍の時間がたてばおおよそ体内からアルコールは抜けているといっていいでしょう。つまり15時間くらいでだいたいアルコールが抜けます。

ということで、朝アルコールのんで、夜レンドルミンを飲むくらいにあけると安全につかえるとおもいます。現実的じゃないですけどね。

同時に摂取すると、レンドルミンの作用が強く出てしまう恐れがあります。そうなると、千鳥足になる可能性アップしますね。さらに眠気・フラつき・最悪昏睡といったリスクがあります。

ちなみにベンゾジアゼピン系の作用発言する順番ですが、

抗不安作用 → 抗痙攣作用 → 筋弛緩作用 → 鎮静睡眠作用 → 健忘作用

まず最初に抗不安作用が発言します。睡眠作用よりも筋弛緩作用の方が先に発言するので、アルコールのむと睡眠作用よりも先に筋弛緩作用によるフラつき・転倒などが起きやす行くなるので注意。

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