冬になると、下痢と嘔吐などの消化器症状の受診が増加します。
感染性胃腸炎は大きく分けて、
・ウイルス性胃腸炎
・細菌性胃腸炎
とに分けられます。
ウイルス性胃腸炎はノロウイルスやロタウイルスなんかによって引き起こされ、健常な成人であれば何もしなくても2~3日で回復します。
このウイルス性胃腸炎には抗生物質は無効なので、
抗生物質が使われる胃腸炎は細菌性胃腸炎になります。
細菌性胃腸炎の抗生剤で、第一選択はホスホマイシンかニューキノロンです。
このホスホマイシン(商品名ホスミシン)という薬は、
気管支炎や喉頭炎なんかの上気道系の適応がなく、
膀胱炎、腎盂腎炎、感染性腸炎なんかの消化器や下腹部系の適応をもつ抗生剤です。
処方箋をみてホスミシンがでたら、細菌性胃腸炎を疑います。
ホスミシン:適応菌種
ホスホマイシンに感性のブドウ球菌属、大腸菌、赤痢菌、サルモネラ属、セラチア属、プロテウス属、モルガネラ・モルガニー、プロビデンシア・レットゲリ、緑膿菌、カンピロバクター属
ニューキノロンは、幅の広いスペクトルをもつ抗生剤でほんとにいろんな菌に効きます。
ただ、何にでも効くからといって使いすぎると耐性菌の原因になるので油断は禁物です。
クラビット:適応菌種
本剤に感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、腸球菌属、淋菌、モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス、炭疽菌、大腸菌、赤痢菌、サルモネラ属、チフス菌、パラチフス菌、シトロバクター属、クレブシエラ属、エンテロバクター属、セラチア属、プロテウス属、モルガネラ・モルガニー、プロビデンシア属、ペスト菌、コレラ菌、インフルエンザ菌、緑膿菌、アシネトバクター属、レジオネラ属、ブルセラ属、野兎病菌、カンピロバクター属、ペプトストレプトコッカス属、アクネ菌、Q熱リケッチア(コクシエラ・ブルネティ)、トラコーマクラミジア(クラミジア・トラコマティス)、肺炎クラミジア(クラミジア・ニューモニエ)、肺炎マイコプラズマ(マイコプラズマ・ニューモニエ)
もし、ニューキノロン耐性カンピロバクターであれば、マクロライドを用います。